特産品「円心モロどん」

 「円心モロどん」の始まりは、平成6年、上郡町商工会が「むらおこし事業」の一つとして、特産品を作って町を活性化させようと始まった。

 上郡高校や上郡町薬草研究会(現:上郡町薬草部会)が栽培していた栄養価の高い「モロヘイヤ」に目を付け、同研究会が栽培したモロヘイヤを粉末にし、うどんに練り込んだ製品を作ることになった。

 町内で古くから「うどん」の製造を行っていた老舗の「平田製麺所」に協力を依頼し、引き受けた平田さんは、「ゆで生」といわれる状態の「円心モロどん」を一番初めに作った。

 現在、観光案内所で販売している「半生麺」といわれる状態のうどんは、モロヘイヤ粉末を配合する分量の調整などに苦労し、約1年の開発期間を経て、製品化に至った。

 現在、工場では、「生麺」、「冷凍麺」の2種類の「円心モロどん」を製造している。

クレオパトラも好んで食べたといわれる「モロヘイヤ」

 エジプトを中心とする中近東地域で栽培され、高温な乾燥地帯でも育つ生命力の強い野菜。エジプト生まれの「モロヘイヤ」は、アラビア語で、「王様のもの」という意味を持つ。ビタミンやミネラルを豊富に含み、野菜の王様と呼ばれるほど栄養価が高い。

 日本に入ってきたのは、1980年代。

なぜ、上郡町の特産がモロヘイヤなのか

 昭和の終わりから平成の始め頃、上郡高校校長を務めていた町出身の浅野昭さんが、日本に入ってきたばかりの栄養価の高い「モロヘイヤ」に着目した。浅野さんは薬草に詳しく、知人からモロヘイヤの種を譲り受け、上郡高校での栽培とあわせて上郡町薬草研究会を立ち上げ、町内で栽培を始めた。

 これが数年後の平成6年の上郡町商工会の「むらおこし事業」につながっていく。

 この頃、「円心モロどん」の他に、農協の協力で、「円心せんべい」も製品化され、また、「円心羊羹」も誕生している。

 その後、町も平成15年〜16年頃、「名物検討委員会」を立ち上げ、モロヘイヤに注目し、特産品の開発に取組み、上郡町の特産として定着していった。

製造工程

 モロヘイヤの粉末を練り込むことで、麺にコシが生まれ、ツルツルとした喉ごし」の良い麺が生まれる

工程1 ミキシング

 原料の小麦粉に、モロヘイヤ粉末を入れ、混ぜ合わせる(粉体混入)。真っ白だった小麦粉が、色鮮やかな緑色に染まっていく。そこに、食塩水を入れるが、その日の温度によって水分量を調整し、6〜8分間生地を混ぜ合わせていく。

工程2 圧延(合わせ)

 ローラーで圧力をかけ、生地を麺帯にしていく。麺帯を2枚重ねにし、圧力をかけることで、麺に弾力を持たせていく。

工程3 切り出し

 麺帯を麺線状に切り出す刃の部分を切歯といい、この切歯を交換すれば、麺の太さや形状を変えることができ、麺の様々な食感を生み出す。「円心モロどん」は、通常のうどんよりコシがあるため、細く切り出している。