発酵のふるさと再発見 【前編】

 宍粟市は、面積の約9割を森林が占めています。県下を代表する清流である一級河川の揖保川や名水百選の千種川をはじめ、しそう50名山、日本の滝百選の原不動滝、赤西渓谷や音水渓谷の景勝地などがあり「しそう森林王国」と呼ばれるほど豊かな自然にあふれたまちです。

 豊かな自然、澄んだ空気、清らかな水に恵まれた地で、宍粟ならではの“発酵文化”が育まれ、発展を続けながら現在に受け継がれています。

各地で発達する発酵文化なかでも宍粟が「発酵のふるさと」といわれる理由

▲日本酒発祥の地といわれる庭田神社のぬくゐの泉(一宮町能倉)

<播磨国風土記が示す日本酒発祥の地>
 現存する風土記の中で、日本酒について最古の記述がある「播磨国風土記」。その一節に、庭田神社(一宮町)で初めて「かび=麹」を使用した庭酒をつくり、神様に献上したことを意味する記述が残されていることから、宍粟市は日本酒発祥の地と言われています。そして現在も、豊かな自然や清流、受け継がれる職人の技によって宍粟の日本酒文化は発展し続けています。

<森と生きるまちならではの自然資源>
 往来する人たちのオアシスとして千年も前より飲用されてきたといわれる「千年水」など、豊かな山々から生み出される名水は、古くから宍粟の発酵文化を支えてきました。

 山の恵みである名水や澄んだ空気に育てられた米は日本酒をはじめ、味噌や醤油づくりに使用され、宍粟独自の味を生み出してきました。

発酵のふるさと宍粟プロジェクト始動

▲発酵のふるさと 宍粟プロジェクトのロゴ

 市では発酵のふるさと宍粟として地域に根付き発展してきた“発酵資源”を生かしたまちづくりを推進するため、発酵のふるさと宍粟プロジェクトを立ち上げました。

 日本酒をはじめとする宍粟ならではの発酵文化を再認識し、新たな価値の創造に取り組んでいます。

<①市民が「発酵文化」に寄り添い、ともに発展していくまちづくり>
 市民が「発酵のふるさと 宍粟」の起源を理解し、発酵食を日常的に取り入れることで、市民の健康維持・増進を支えるまちをめざします。

<②「発酵」に関する情報発信拠点となる魅力あるまちづくり>
 発酵に関する商品を市内各所で販売したり、飲食店で発酵を生かしたメニューを提供するなど、市外の人に“発酵のふるさと”としてより認知されるまちづくりに取り組みます。

 発酵のふるさと宍粟プロジェクトでは、発酵資源という新たな価値の創造に取り組んでいます。市民の皆さんが宍粟市に愛着と誇りをもち、そして市外の人が宍粟市を何度も訪れ、いずれは住んでみたいと思えるまちをめざします。

 地域で発展してきた発酵文化、皆さんはいくつご存知でしょうか。

まちに息づく発酵文化「日本酒」

▲復活した「まぼろしの酒」三笑

 日本酒は、長きにわたり、宍粟に深く根付く伝統文化です。宍粟を代表する二つの酒蔵「山陽盃酒造」「老松酒造」の日本酒は、地元の人たちに親しまれ、愛され続けています。また、両酒蔵は市内外のイベントなどを通して“発酵のふるさと 宍粟”として日本酒の楽しみ方を日本各地へ発信されています。

<まぼろしの酒『三笑』40年ぶりの復活>
 2018年4月、宍粟市の地酒『三笑』が地元の酒蔵である山陽盃酒造、老松酒造の醸造で復活しました。三笑は、江戸時代の天保元年(1830年)に酒造を始めた本家門前屋の銘柄。1977年で醸造・販売を終了し「まぼろしの酒」とされていました。

「味噌」

▲こだわりの味噌作り体験

 宍粟市では、厳選した地元産の米と大豆を使用した味噌作りが行われています。
 味噌作りワークショップなども行われ、子どもから大人まで幅広く親しまれています。

<地産地消で安全安心な学校給食>
 宍粟市の学校給食に使用している味噌は、給食のために特別に作られた「米味噌」です。地元産のコシヒカリと市内の休耕田で栽培されたサチユタカを使用し、手作りされるオリジナル味噌は、みそ汁はもちろん、多様なメニューに活用され、子どもたちの成長を支えています。

▼問合せ先 まち・にぎわい課
TEL 63-3127 FAX 63-1282